ノルマンディーの風

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続・“たまご”から“ひよこ”

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            卵を人工孵化器に入れてから22日目。

            朝起きたら、昨日のひよこの鳴き声が一段と大きくなり、
            1階中に響き渡っている。
            
            朝1番に家の中に入ってきたパシャが、
            それを聞き逃すはずはなく、
            一直線に孵化器に向かい、中を覗き込む。

            すると、



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            うぎゃあ、産まれている!!!

            卵が並んだ孵化器の中にひよこが1羽、
            突如、現れた!

            本当に本当だったんだ、
            有精卵を温めるとひよこになるという話。

            あの白身と黄身だけでできた卵が、
            もちろん有精だとしても、
            温めただけで(湿度もだけど)“ひよこ”になっちゃうなんて。

            とてつもない“自然の完璧さ”を見せられた気分。
            卵という小さな殻の中には、
            無駄も不足もなく、“ひよこ”ができあがるための要素が詰まっているのだ。



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            だって、この羽毛なんて、
            白身と黄身のどの部分に隠されていたんだろうと思うでしょ。
            目もくちばしも小さなトサカも、
            ぜんぶ卵からできたものだなんて!

            人間の出る幕なんてありゃしない。
            自然は卵1個を取ったって、
            それだけですべてが完結しているのだ。



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             ね、クロクロもびっくりですよ。




             ここからが孵化ラッシュ。
             他にもいくつか穴が開いている卵があるけれど、
             また24時間後か、と油断していたら、
             ぱっかぱっか、産まれる産まれる。



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             隣のキッチンでお昼を食べていたら、
             ゴトンと音がしてすでに外に出ていたクロ子。

             一子はいつ産まれたのか分からないけれど、
             こちらは正真正銘、産まれたて。
             羽毛がまだ乾いておらず、ピンクの肌が見えています。

             この羽毛が乾いたところでひよこを孵化器から出し、
             外のアトリエ内に作ったひよこ電球スペースに移動させるのです。



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             しかし、また産まれる瞬間を見逃した!
             と再び、孵化器の横に陣取り、
             定期的に中を覗きながら、進まない仕事を開始。

             卵に穴が開いて、殻の外に出るまでの時間は、
             ひよこによってさまざま。
             最初の穴を開けたひよこは、
             さらに卵を一周するようにくちばしで亀裂を入れます。
             その後、ひよこは全身を使ってその亀裂を左右に押し広げ、
             その時、殻がパリパリと割れる音が聞こえるほど。
             最後に頭と足を伸ばして卵を一気に開けて、
             外に出るという寸法です。

             これが何度見ても面白い!

             亀裂が広がる時に卵が膨らんだり縮んだりして見え、
             卵自らが小動物のように呼吸しているみたい。

             同じことの繰り返しだと分かっていても、
             「ほれ、がんばれ!もうちょい!」と応援しながら、
             ひよこが外に出てくるまでを何度、何度も見てしまいます。

             

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             こうして、産まれたひよこは計20羽。
             しかしながら、生後数時間で死んでしまったひよこがうち3羽。

             最初のひよこの後は、
             私がまったく殻割りを手伝うことなくみんな出てきたのですが、
             中には肉の塊みたいなものを引きずって産まれてきたものもいました。
             それが原因かは分かりませんが、
             産まれた時にちょっとおかしいな、と思うのはやっぱりすぐに死んでしまう。

             そして、24日目に産まれた2羽。
             23日目に殻には穴が開いていたのだけれど、
             24日目にまだ外に出ないため、私が手伝って穴を広げて外に出してあげる。
             1羽は見るからに足が曲がっている感じで、変な歩き方をしていたから、
             やばいかもと思ったのですが、何気に持ち直し、
             一番小さな体ながら、今でも元気にしています。



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             しかし最後に産まれた黒いひよこは、
             殻の外に出たはいいけれど、立ち上がることも歩くこともできない状態。
             実は穴が開いている場所が、普通ならば上側にあるはずなのに、
             下側になってしまっていた卵。
             
             産まれたばかりのひよこたちは、
             それはもうすごい勢いで動き回るのだけれど、
             まだ産まれていない卵を転がす転がす。

             私も気になりながらも、羽毛が半渇きになるまでは、
             アトリエに連れて行くのを待っていたのですが、
             それがいけなかったのかも。

             横になったまま、足をバタバタさせ、鳴き続けるひよこを、
             私はどうしていいものか分からず。
             とりあえず、アトリエに連れて行き、
             他のひよことは隔離して置いておくことに。

             時々、水を無理やり飲ませると、なんとか飲むため、
             そのまま3日間は生き続けていました。


             
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             結局、46個の卵のうち、元気なひよこになったのは16羽。
             残った卵をいくつか割ってみると、中は普通の卵で、
             半分以上が無精卵だったよう。

             それでも、人工的に孵化させてこの確率だと思うと、
             “生を受ける”というのは、
             決して普通であたりまえのことなのではないと思います。
             1つの生物が産まれて生きるということは、
             本当に奇跡なのでしょう。



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             ひよこたちが普通にエサを食べて、糞をするところさえ、
             見ると感動してしまう。
             よしよし、体の各機能がちゃんと働いているね。

             さらに、成長は驚異的で、
             生後5日目のひよこたちには、
             すでに羽が生え始めていました。




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             と、初めて動画に挑戦してみました。
             忙しい現代人のために1/3以下に長さを短くしたので、
             だいぶ穴も大きくなったところで始まっています。

             ひよこが殻を頭に載せて立ち上がりそうになった時に、
             思わず私の笑い声が入っています(笑)。

             おまえはカリメロか~!





        
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by yokosakamaki | 2014-04-13 03:44 | うちの鶏物語

“たまご”から“ひよこ”

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            フランスは全国的にお天気マークが輝き、
            一気に気温が上がって、
            このまま夏に突入しちゃうんじゃないかと、
            思うほどの快晴続きだった3月。

            私はノルマンディーにこもって、
            原稿書きの傍らでせっせと励んでいたこと。

            「鶏の卵を温めていました。」

            えぇ、もちろん、
            私のお尻の下で温めなくとも、
            世の中には便利なものがあるわけで、
            FanFanがネットで購入した卵の人口孵化器を使ってです。
            とはいえ、出費をケチった(本人曰く見つからなかった)ため、
            すべて自動というわけではなく、
            ある部分は人間が手を掛けないといけないのです。


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            仕組みは至って簡単。
            まずは現在、うちにいる雄鶏1羽と雌鶏15羽の間で産まれた有精卵から、
            形や大きさの基準に合う卵を選びます。

            卵51個も入る孵化器ながら、うちの卵たちは大きめで、
            基準に合う卵だけにすると半分も埋まらないため、
            なるべく小さなものを混ぜながらようやく46個を選択。

            卵形をした容器に1個ずつ並べているのは、
            これから1日2回、朝と晩に外に飛び出た取っ手を回して、
            卵をひっくり返さないといけないからです。

            さらに重要なのは温度と湿度。
            温度は37~38℃に保たなくてはいけず、
            湿度は60%、最後の2日間は70%にしなくてはいけないとのこと。
            温度は自動で調節してくれますが、
            湿度を保つためには、毎日水を加えなくてはいけません。

            しかしながら、設置された湿度計がなぜか表示しない!
            いやまったく、幸先がよろしいようで~。



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            こうして待つこと、21日間。

            私は毎日、孵化器に水を加え、
            朝と晩に取っ手を左右に振って卵をひっくり返し、
            という地道な作業を繰り返しながら、
            卵を観察し続けたのですが、
            その間、ウンともスンとも言わない卵たち。

            ライトで卵の中を照らして検卵という方法もあるのですが、
            見てみたところ、何にも見えないし、
            はっきり言ってワタクシ、疑っていました。

            だって、うちでは普通に食べている有精卵。
            本来、冷蔵庫の中に入っている卵はオムレツになるところ、
            孵化器の中で温めた卵はひよこになっただなんて、
            どう考えても、子供だましみたいな話でしょ?

            最後の2日間は、卵を容器から出して網の上に置き、
            もうひっくり返さずに孵化するのを待つのだけれど、
            卵を手に持ってみたところ、卵はただの卵。

            何も変わっていないじゃ~ん!!!



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            と、前日まで思っていた、21日目。

            朝、起きて孵化器を覗いてみると、
            まさかまさかの、卵1個に穴が開いている~!!!

            さらには、この状態でひよこの鳴き声も聞こえるんですね。
            もう、これからは仕事どころじゃありません。

            仕事位置を孵化器の横に移動させ、
            いつ出てくるか、いつ出てくるか、頻繁に覗き込む。

            が、一向に穴が大きくなる気配がない。

            説明書によると、殻を開けるのに難儀するひよこもいるそうで、
            その場合には手助けをするように、とのこと。

            なんといっても生まれて初めて見る、卵の孵化。
            記念すべき、最初のひよこが難儀しているのかどうかが分からない。

            ピンセットでちょっと穴を大きくしてみたけれど、
            果たしてどこまで手助けすればいいのかも分からない。


            
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            ネットで調べてみると、
            世の中にはいっぱい卵を孵化させた人がいるもので、
            「最初の穴が開いて24時間は卵から外には出ない」そうで、
            「そこを無理やり開けてしまうと、
            内臓が体の中に入りきらない状態で出てきてしまう」とか!
            げっ、穴を大きくしてしまったけれど、うちの子は大丈夫かしら?

            とにかく、すぐには出てこないことが分かり、
            ようやく気を落ち着けることに。
            ピヨピヨと聞こえてくるひよこの鳴き声に、
            適当に返事を返しながら、その日の午後を過ごしたのでした。
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by yokosakamaki | 2014-04-04 23:13 | うちの鶏物語