ノルマンディーの風

カテゴリ:冬のこと( 4 )

2月の小雪

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            “オカメさん”がもうすぐ満開になりそうな2月末のこと。
            朝起きて、2階の寝室の窓から外を眺めると、
            地面がうっすらと白くなっていて、
            最初は霜が降りているのかと思った。

            1階に降りてから、再び外を眺めると、
            おやまあ、雪がチラついている。

            フランスの北西部にあたるノルマンディー地方ながら、
            雪が降ることはあまりなく、
            降ったとしても冬の間にせいぜい1日か2日くらい。
            翌日には溶けてなくなってしまうくらいの積雪のため、
            雪景色を見るのも稀なのです。

            たぶん、今降っている雪も午後になれば止んでしまい、
            地上に降りた雪たちはさっさと姿を消すに違いない。

            と思ったら、朝ごはんもままならず、
            雪見をしに、牧草地まで散歩に出ることに。
            もちろん、雪見仲間はうちの子猫、パシャとクロクロ。 
            朝ごはんをねだりに、朝一で家の扉まで走り寄ってきた奴らも、
            散歩が終わるまで、朝ごはんはおあずけです。


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            まず、出会いしは、
            去年生まれた2頭の雌馬。
            すっかり紹介が遅れてしまいましたが、
            最初に生まれた雄の子馬の1週間後、ほぼ同時に誕生。
            去年末に乳離れも済み、現在は子馬3頭で同じ牧草地にいます。
            それでも、いつも仲良くくっついているのは雌の2頭。 

            12月にも1回だけうっすらと雪が降った時があったから、
            彼らにとっては生まれてから2度目の雪体験。
            毛もふわふわの冬毛に変わっているため、
            少々の雪もなんのその。
            いやはや、元気そうですね。


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            なんてのんきに歩いていると、
            予想に反して雪がどんどん、どんどん降ってくる!
            そんな中、毅然としてさくらんぼの木の枝に止まっている、
            小さな鳥を発見。
            調べてみると、クロウタドリぽい感じなのだけど、本当かしら?
            さくらんぼの木もだいぶ芽が出てきたというのに、
            冬の終わりの雪は、たっぷりと水分を含み、
            大粒になって降り注ぎます。


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            さらに降り続く雪の中、
            うちの野性児たちも、よくまあ、私の雪見散歩に付き合うものだわ。

            ちなみに、12月の時点で子猫3匹の体重は、
            パシャ ― 5.4kg
            プリュム ― 5.4kg
            クロクロ ― 4.5kg
            と男子2匹はあっけなく5kgの大台を突破。

            でも、考えてみれば、基本的に外で暮らしているうちの猫たち、
            冬も深まるにつれ、見るからに彼らの毛皮は厚く密になり、
            撫でると、ふかふかの絨毯のような手触り。         
            時折、その毛皮をふわっと膨らまして防寒をしているようで、
            そんな時は体格もまんまる。

            寒さに備えて脂肪も蓄えないといけないだろうし、
            ちょいと太ってしまうのは仕方がないことなのでしょう(と思いたい)。


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            それにしても、身一つで生きている動物たちは、
            なんて自由なのでしょう。
            私たちのように外に出るのに、何枚も服を重ねなくてもいいし、
            マフラーや毛糸の帽子でさらに防寒する必要もない。
            そもそも屋根の付いた家だって、
            部屋を暖めるための暖房や電気だって必要ない。

            寒ければ自分の体に備えられたもので防寒できるし、
            屋根が必要ならば、
            自然の中に自分を守るための場所を見つけることができる。 
            また、着の身着のまま、
            鳥たちは寒い国から暖かい国へ移動することだってできる。 

            人間は快適さや便利さを求めて、さまざまな物を発明したけれど、  
            それによって、その物がなくては生きていけなくなりました。
            服も家も電気も、今やなくては暮らせない。

            車やインターネット、携帯、いろんな便利グッズが発明され、
            なくては暮らせない物がどんどん増えていく。
            さらにはその物たちを所有するために、
            人生の大半を費やして働いているのだから、
            ほとんど物に支配されているようなもの。

            何も物を持つ必要のない動物たちから見れば、
            物を所有するために生きる人間たちは、
            なんと不自由で滑稽なものでしょうね。


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            散歩途中で猛烈に降ってきた雪も、
            牧草地の端に着くころには、
            案の定、すっかり止んでしまいました。
            家に戻って猫たちと一緒に、
            ちょっと遅めの朝ごはんを食べるころには薄日が差すほどで、
            午後には家の中庭には雪の面影もないくらい。

            ま、ノルマンディーで雪が降るって言っても、
            こんな程度のものです。   
            だから、朝ごはんを食べている暇もなかったというわけ。

            暖かなサロンの中でぬくぬくと原稿を書きながら、
            うっすらと雪をかぶった“オカメさん”を眺める。
            寝坊助なプリュムもようやくやってきて、
            子猫3匹は私の周りですでに夢の中。

            でもこれで、今年の雪も最後、
            後は春を待つばかり、 
            とすでに冬に思いを馳せていたら、
            この約3週間後、
            ノルマンディーでは稀に見る大雪が待っていたのです。


        
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by yokosakamaki | 2013-03-23 21:37 | 冬のこと

オカメザクラ

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                   春が近づくと燃え上がる、私たちの園芸熱。
                   忘れてはいませんよ、桜の木探し。

                   去年は探している暇がなかったのですが、
                   先日、バラの木を探しに行った園芸センターで、
                   たまたま見つけました。

                   その名も“オカメザクラ”!

                   とりあえず、一重咲というところが合格。
                   色は私の好みよりも濃い感じなので、
                   ちょっと迷ったのですが、
                   「濃い方がいい」というFanFanの意見を聞くことに。

                   うちの果樹園の果樹たちはみんな白っぽい花を咲かせるので、
                   まあ、濃いピンクでも悪くないかも。

                   場所は、以前植えた“福花さん”に2mばかり後ろに移動してもらい、
                   その特等位置を提供。
                   なんといっても私の仕事場から一直線に見える位置には、
                   お気に入りの桜を植えないと。
                   でも“福花さん”も、
                   ちゃ~んと隣の窓から見える場所にいますから。


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                   買ってきた時にはすでに蕾が膨らんでいる状態で、
                   植えた翌日には花が咲き始めるほど。
                   「桜が咲いた!」と喜ぶには、買ってきたそのまんまのため、
                   ちょっとイカサマっぽいけれど、
                   うちの中庭で今年一番の春の到来です。

                   開花時期は2月下旬なので、
                   来年以降も常に、うちに春一番をもたらしてくれるはず。

                   そういえば、同じ頃に咲くはずのミモザはどうしたかというと、
                   今年は花を咲かせる気配もなく。。。
                   写真中央の“福花さん”は蕾が膨らんでいるのだけれど、
                   両方ともどう見ても2年前に植えた時から、
                   育っている様子がないんですけど。。。
                   幹が若干、太くなったくらい???


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                   でも考えてみれば、
                   何十年、うまくいけば何百年も生きていくだろう樹木。
                   それこそ、にわとりや猫のように、
                   1年や2年で急激に成長することはない。
                   というか、急激に成長する必要もないんだよね。

                   一番右の写真は、去年の春先に家の両側に植えたバラの木。
                   つる性のバラで、行く行くは家の外壁を両側からバラで飾る、
                   という壮大な計画があるのです。

                   が、片方は植えると同時に枯れてしまい、
                   そこに植えるバラを探しに園芸センターに行ったというわけ。
                   残念ながら、同じバラが見つからず、
                   今年は植えることを断念。
                   しかしながら、去年植えたもう片方も、
                   壁をよじ登るところまでもぜんぜん行きませんねぇ。

                   人間、動物、植物、
                   それぞれの成長の仕方があるように、
                   樹木の静かで緩やかな生き方に合わせて、
                   こちらものんびり、じっくり、気長に待つしかありません。

                   
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                   雨が降り続き、春の陽気になったかと思えば、
                   一気に気温が下がって霜が降りる朝が続いた2月末。
                   1年でもっとも寒い時期に開花する“オカメさん”は、
                   そんな状況にも負けず、元気に花を広げていきます。

                   もうそろそろで満開かという日は、
                   雪がちらほら舞い、さらに寒い朝でした。

                   うつむき加減で清楚に佇む“オカメさん”。
                   やっぱり桜は強く美しいものですね。
                   
          
                   


                   
                   
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by yokosakamaki | 2013-03-18 04:14 | 冬のこと

霜が降りた朝

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            予報通り、気温が一気に氷点下に下がった朝。
            起きて窓の外を見ると、世界が白く染まっている!
            これは写真を撮りに行かなきゃ!と、
            マフラーをぐるぐる巻き、毛糸の帽子を深々とかぶり、
            手袋をギュウギュウはめ、しっかり防寒して外に出た。

            そこへ誘ってもいないのに、後ろからついて来る子猫が3匹。

            今日は遠くまで行かないよ、
            なんといっても寒いんだから!

            と言っても勝手について来るお供3匹を従えて、
            鬼退治、じゃなかった、
            霜見物と相成ったのであります。


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            それにしても、
            “霜が降りる”ってなんて素敵な表現なのでしょう。
            夜のうちにたくさんの霜の妖精たちが降り立ったように、
            地上にあるものすべてがうっすらと白い結晶で覆われている。

            牧草地を覆う一面の草の上も、
            囲いの木の柵の上も、
            地面の落ち葉の上も、
            みんなが均一に白い美しいベールをかぶっている。

            馬の水飲み場の凍った水の上にも、
            星型の白い妖精たちがふわりふわりと踊っているよう!
            そんな中、まさかはクールなクロクロ、
            あんたも凍っちゃったわけじゃあないよね?


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            なんて私の心配とは裏腹に、
            大はしゃぎの子猫3匹組。

            ♪猫は喜び、庭駆け回り♪

            という歌詞でしたっけ、あの歌は!

            凍っている地面、草、木の上もなんのその、
            走り回り、駆け上る、いつも通りの元気な奴ら。
            この寒さの中、
            ただの能天気なのか、なんなのか。

            いえいえ、母さんはあなたたちの野生児っぷりが
            とっても誇らしいですよ!


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            ちなみにノルマンディー地方はフランスの北部にあるため、
            「ものすごく寒い」と思われている方も多いようですが、
            そんなことはありません。

            雪が降ることもめずらしく、降っても積もることはさらに稀。
            パリでも雪が積もった一昨年の年末、
            私は大雪の中、引越し作業をしていたのだけれど、
            パリよりも雪が積もっていたヴェルサイユを出発し、
            北西へとちょっと進んだあたりが一番雪が多い地帯。

            その後はどんどん雪が少なくなり、
            ノルマンディーの家に着いた時には、
            雪の“ゆ”の字も見当たらないくらいだった。
            
            ノルマンディーも広いため、
            うちのある海側よりも内陸側はもっと寒いのでしょうけれど。
            たいていのパリジャンたちも誤解していますが、
            はっきり言って“パリよりも暖かい”です!

            石造りの建物&石畳に囲まれたパリよりも、
            まずは体感温度がぜんぜん違う。
            パリはキンキンと頭に響くヒステリックな寒さ、
            ノルマンディーはじわじわと真綿で首を絞めるような寒さというのかな。
            どっちもどっちか。
            でもそれ以上に寒いところといえば、
            内陸も内陸にあるうちの山小屋なんですけれどね。


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            この日も家に戻った途端、太陽が顔を出し、
            入り口にある温度計はすでに1度に上昇。
            中庭には、なんとこの時期まで咲いていたバラも凍っていて、
            先日まで暖かかったことを物語っている。
            去年植えたミモザの木も無事に蕾が膨らみ、
            FanFanは大慌てで防寒対策をするそう。

            すでに日の出はずいぶん早くなり、
            朝9時前ですっかり外は明るい。
            一年でもっとも寒い時期ながら、
            目に見えるように日が長くなり、
            気持ちも前向きになる頃です。

            さっきまで外の世界を覆っていた白いベールは、
            太陽に照らされて一瞬輝いたかと思えば、
            その後波が引くように、
            いつの間にか消えてなくなってしまいました。

            それは短い時間だけ見られる儚い風景。
            冷たくも美しい、魔法のような、
            “妖精が降りた朝”でした。
            
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by yokosakamaki | 2012-02-04 23:01 | 冬のこと

朝の散歩

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            12月に入っても珍しく温かな日が多かったけれど、
            ようやく雨続きの“冬らしい”天気になったノルマンディー。
            とはいえ、うちは海側のため、風が強く、
            1日中雨が降り続くのは稀。

            サロンから眺めていると、
            右から左へと雲が大忙しで移動していくのが分かる。
            ざっと雨が降ったかと思うと、さあっとお日様が光を放ち、
            その向こうには新たなる黒い雨雲が顔を出しているといった按配。
            まさに雲と太陽の力比べという感じで、
            お互いに隙あらば、“私が一番!”と自己主張することに余念がない。

            久しぶりに太陽が大いに軍配を上げた日、
            雨の余韻がキラキラと反射し、
            外はまぶしいほどに輝く世界に変身していた。

            そういえばあの“りんごの収穫”以来、
            目と鼻の先ほどにある果樹園にも行っていない。
            パシャも外猫に戻ったことだし、
            ここはひとつ、奴を外に慣れさせるためにも、
            みんなを散歩に連れ出すことにしましょうか。

            散歩といえば、うちの犬、アカントも誘ってあげたいところだけれど、
            相変わらず、仲が悪いうちの犬と猫ども。
            アカントを連れて行くとなると、猫たちがついて来るわけがない。
            まだ寝床の檻の中にいるアカントに、「ごめんごめん」と声をかけ、
            うちの子猫3匹を引き連れて果樹園に足を踏み入れた。


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            と、そこへ向こうからやって来るのは朝帰りのミヌー母さん。
            散歩に誘うと、朝帰りもなんのその、
            さすがはパワフル母さん、誘いに乗ってきた。

            私は果樹園ツアーのガイドよろしく、
            ツアーの小旗をパタパタ振ってみんなを誘導。
            はい、左に見えますのが、
            廃墟と化した温室でございま~す。
            FanFanはここを直して、何やら栽培したい気があるらしいけれど、
            この状態を見ると、そんなのはいつになることやら。


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            なんてガイドの話は誰も聞いちゃあいない。
            そういえば、もうすでにミヌー母さんの姿も見えない。。。

            つれない客たちは放っておいて、
            私はひとり、久しぶりの果樹園を楽しむことにした。
            すっかり葉が落ちて丸坊主になった果樹たち。
            今や寡黙にひっそりと佇むだけになった林には、静寂が漂っている。

            まあ1年中、お祭り騒ぎをしているわけにはいかないし、
            ゆっくり休んで、次なる季節に備えてください。
            
            
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            フランスの冬の朝は9時まで暗い。
            もう10時にもなるというのに起きたばかりの太陽は、
            低い位置からの光でこの地に存在するすべての物の下に、
            長い長い影を作り出している。

            寝坊の太陽に温められる暇がなかった冷たい空気は、
            体の中までじわじわと冷やしてゆく。
            コートだけ羽織ってきたことをちょっと後悔しながらも、
            心地よくもある冬の寒さに身をゆだね、
            白い息を吐きながらゆっくりゆっくり歩く。

            と、そこに戻ってきたのはツアー客の2匹。
            プリュムの姿が見当たらないけれど、仕方がない。
            それでは気を取り直して、お馬さんに会いに行きましょう。


            
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            朝露をたっぷり含んだ草の上を歩くと、
            足が濡れて嫌なのか、
            クロクロは時々、片足をぷるぷる振って歩く。
            その後をちょろちょろ追いかける臆病パシャ。

            それにしても2011年はあんたたちに本当に振り回された1年だった。
            ブログさえも子猫の成長に追い立てられ、
            必死で更新していたようなもの。
            それに比べて、すっかり出番が少なかったのがこの馬たち。

         
            
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            と、馬たちが見えてきたと思ったら、
            突然、来た道をダッシュで戻っていく子猫2匹。

            まったく何なのよ!
            少しは集団行動というものを覚えたらどうなの!

            仕方がないので、これ以上先に進むのはやめ、
            客のいなくなったツアーガイドも放棄。
            遠目で馬たちにあいさつをする
            手前はお馴染み、アパッシュにポニーのルキー。
            奥の奥にいるのは、うち一番の美男馬、ルソワール。
            フランス語らしい優雅な名前がついているけれど、
            立派なイチモツを持つ、男の中の男である種馬くん。

            2012年はね、あなたたちの活躍をぜひ!期待したいところ。


            
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            なんてやっていると、
            後ろでクロクロが何やらわめきながら走って来た。

            なに?兄さんたちがどっかに行ってしまい、
            一人ぼっちにされたって?

            それはこっちのセリフだ!

            仕方がないので、クロクロと一緒に来た道を戻る。
            と、途中で、同じようにわめいているパシャを発見。


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            なに?むかるみだらけで足が汚れてしょうがないって?

            ひ弱な“パリにゃん”め!

            と、そこにプリュムが無言で登場。


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            ちょっと、何か言ったらどうなのさ!
            だいたいみんな、協調性がなさすぎるよ!
            
            なんて母さんの小言も、もちろん誰も聞いちゃあいません。

            でも、結局最後はみんなで、一緒に帰って来られたとは、
            奴らにとっては上出来な朝の散歩だったのかも。

            まぁ、2012年もこの調子で、
            この子達に振り回される一年になるでしょうね。


            
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by yokosakamaki | 2012-01-15 20:53 | 冬のこと