ノルマンディーの風

カテゴリ:秋のこと( 3 )

暖炉の煙突掃除

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                   ブリコラージュ(bricolage/日曜大工)好きとして知られるフランス人。
                   もちろん、みんながみんな、そうとは言えないけれど、
                   大抵のフランス人は何でも自分でやるのがお決まり。

                   なぜならば、
                   1, 業者に頼むと高い。
                   2, 業者に頼んでも満足できる結果が得られない。
                   からなんですね。

                   高い値段を払っても文句をつけたくなるような代物に仕上がるならば、
                   安い値段で自分の好きなようにやった方がいいに決まっている。
                   本当にブリコラージュ好きな一部の人を除き、
                   多くの人は必要に迫られてやらざるを得ないと言った感じ。

                   FanFanはどうかと言うと、
                   必要に迫られて&ブリコラージュ好きの半分、半分なんだろうな。
                   自分でやりたいならば、どうぞどうぞお好きに、
                   時には私も手伝ってあげるよ、と言いたいところですが、
                   なんせ仕事もあるし、お互い忙しい身なわけですよ。
                   問題は、「自分でやるやる」と言っておきながら、
                   いつまで経ってもやり始める気配がないこと!

                   そんな山ほどある課題事項のひとつが、
                   “暖炉の煙突掃除”。
                   「掃除しないとー」と言い続けて早1年。

                   あの、もう薪ストーブの季節が始まっていますけど!!

                   ところで、このサロンにある暖炉は家に元々からあったもの。
                   遡ること17または18世紀の古いものとかで、
                   ほとんど崩れかけていた石造りのマントルピースを修復したもの。
                   キッチン側にも向かい合う形で同じ暖炉が存在するのだけれど、
                   こちらの方は原型のまま(写真はまたいつか)。

                   この開放型の暖炉も使ったことがあるらしいけれど、
                   部屋がぜんぜん暖まらなかったとか。
                   でも昔の人々は、その暖まらない開放型を使っていたんだよね。

                   そこで持ち込んだのが薪ストーブ。
                   暖炉の煙突をFanFan手作りの鉄板でふさぎ、
                   ストーブの煙突は鉄板の真ん中に開けた穴に通して使用。
                   暖炉の壁に鉄製バーで鉄板の支えが取り付けてあるけれど、
                   わずかにできる隙間はテープでふさいでいるところが、
                   いかにも手作りちっく。

                   したがって、暖炉の四角い煙突の中に、
                   ストーブの丸い煙突が入っている形なのです。

                   その丸い煙突がまた、                   
                   ストーブに火を入れると真っ赤になる古いもので、
                   「煙突掃除もですが、まずは煙突自体を新しくした方がいいんじゃない」
                   とも言い続けて、早1年!

                   今年もストーブに火を入れた日、ちょうど夕食に来ていた友達に、
                   「この煙突はヤバイだろ」と言われたFanFan。
                   ようやく煙突掃除&煙突換えに着手した。

                   
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                   腰を上げるまでは時間がかかるけれど、
                   やるとなったら行動が早いFanFan。
                   新しい煙突を買ってきたと思ったら、
                   タイプを間違えたことに気づき、再度店へ。
                   再び家に戻ってきたと思ったら、
                   今度は友達の家に煙突掃除道具を借りに。

                   東奔西走しているFanFanを横目に、
                   早速、新しい煙突を遊び場にするクロクロ。
                   さすがにプリュムは自分の体型を考慮し、
                   中に入ることはしませんでしたが。

                   ストーブをどかし、古い煙突を取り除き、
                   鉄板を開けてみると、煤がどっさり。
                   掻き出しても、掻き出しても、まだまだ出てくる。

                   いったい何年分、溜めていたんじゃ!!!


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                   次は煙突掃除道具を使って、
                   煙突の内側についた煤をこすり落とす作業。
                   サロンの中は工事現場と化し、
                   ビニールシートの中ではFanFanが掃除中。

                   しばらくして煤だらけになって出てきたFanFan。
                   借りてきた道具が合わないと、
                   今度は煙突掃除道具を買いに再び店へ。

                   その隙に私は工事現場の内側を覗いてみました。
                   古い暖炉の煙突の上の上の方に、
                   小さな四角い穴が開いているのが見える、見える!
                   FanFan曰く、一番上までは11メートルもあるのだとか。

                   
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                   通常の煙突掃除道具はこんな形。
                   丸い煙突用は丸い鉄製ブラシに、
                   分解された柄が何本もついていて、
                   継ぎ足して継ぎ足して長くしていく。

                   パリでもこんな道具を担いだムッシューを、
                   ごく稀に見かけることがあります。
                   これは煙突掃除屋さんのシンボルですね。

                   さて、帰ってきたFanFan。
                   欲しいタイプの物がなかったとのことで、
                   お試しで他のタイプの物を借りてきた。
                   使って気に入らなかったら、洗って返してくれればいいとのこと。
                   なんて良心的な店!

                   なんといってもうちの暖炉の煙突は幅広なので、
                   通常の掃除道具では柄がしなりすぎて、こすれないとか。
                   とりあえずお試し品でなんとか掃除を終え、
                   ようやく新しい煙突を設置した時にはすでに夜10時を回っていました。
                   
                   翌日、お試し品を返しに店に行った時、
                   ちゃんと欲しいタイプの煙突掃除道具を注文して来たと言うFanFan。
                   ということは、これからは“定期的”に、
                   煙突を掃除するということですよね?
                   
                   なにはともあれ、新しい煙突に、
                   暖炉周りも掃除してすっきりとした薪ストーブ。
                   今年の冬もしっかり活躍していただきます!

                   
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                   それにしても、なんでもかんでも燃やすのが好きなFanFan。
                   中庭にあるのっぽの松から落ちた、
                   巨大な松ぼっくりも集めて燃やしてしまう。
                   「松ぼっくりはよく燃えるからいい」のだそう。

                   そんなところにいると、あなたも燃やされますよ。
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by yokosakamaki | 2011-11-25 02:21 | 秋のこと

魚を釣りに海へ

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            今年は本当に珍しく、
            天気がよく、温暖な秋の日々が楽しめるフランス。
            まあ、夏がなかったわけだから、
            このぐらいはお天道さんにもがんばってもらわないと!

            そんな柔らかな光が降り注ぎ、景色がキラキラと輝く秋のある日、
            友達のクリスチャンから突如、お誘いが。
            「今から船を出すから、魚釣りに行かない?」

            前にもクリスチャンのモーターボートに乗ったことはあるのだけれど、
            「今度は魚釣りもしてみたい!」というお願いを、
            ちゃんと覚えていてくれたのだ。
            私は朝から精を出していた、バスルームの掃除を文字通り放り出し、
            FanFanと一緒に近所の港に駆けつけたのです。


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            ここは、私たちが魚介を買いに来る港ではないのだけれど、
            魚の市場も開かれている漁港。
            クリスチャンの息子、ジュリアンを待っている間にも、
            海から戻ってくる漁船の姿がチラホラ。

            ちなみにこの小さな漁港の、
            モーターボートのパーキング代は年間250ユーロだとか。
            「そんなに高くないじゃん!」と反応する私たちに、
            「問題はスペースが限られていること。
            何年も場所が空くのを待っている人もいるんだから」
            と言う、クリスチャンの奥さんでオランダ人のミク。

            なにはともあれ、こんなご近所で船に乗せてもらえるなんて、
            ありがたや、ありがたや。
            ましてや、魚釣りもできるなんて、
            これぞ、田舎の素敵な遊び方!


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            ようやくジュリアンも到着し、いざ、海へ!
            小さなモーターボートは風を切り、
            とびうおのように跳ねながら海上を進む。
            豪快に水しぶきが上がり、
            時折、体がふわりと浮かぶ浮遊感に、
            ひしっとFanFanにしがみついてしまう。

            そんな状況を物ともせず、
            私たちの足元で船にへばりついているのは、
            クリスチャンの犬、デュヌ。          
            さすがに海に慣れた船乗り犬、よ!女前だね。

            目的地に着いてエンジンを切ったら、
            おもむろにワインの栓を抜くのはジュリアンの役目。
            まずは景気づけに、「かんぱ~い!」というわけ。
            そして早速、海釣りのやり方を伝授してもらう。

            4つのルアーがついた釣り糸を海底まで落とし、
            時々動かしながら、リールで糸を巻き上げていく。
            その繰り返しだとか。
            
            
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            これがまた、かなり面白い!
            だって面白いほど、サバ(maquereau)が釣れるんですもの!

            多い時なんて、
            4つの釣り針に5尾のサバが食らいついていることも。
            でもそうなると、重すぎて持ち上がらない、持ち上がらない。
            「キタキター!」とうれしさのあまりニヤケながら、
            ひぃひぃ言ってリールを巻いている、
            なんだか大変な状態。

            海面までやっとこ連れて来たサバたちを、
            船まで引き上げてくれるのはクリスチャンの役目。
            釣り針からサバたちを外してくれるのは、ミクの役目。

            私は釣り糸を下げたり、上げたりしているだけなわけだから、
            そりゃあ、面白いに違いない。
            仕舞いには、
            「サバ以外の魚が釣りた~い!」と叫びだすほど。
            えぇ、他の魚を釣るのはもっと難しいらしいです。

            ようやく最初の魚釣りの興奮が収まってきた私は、
            ミクと一緒に時々サバを釣り上げながら、
            時々おしゃべりをし、のんびりムードに。
            残りの男3人は釣りもせず、
            ワインを飲みながら、ず~っとしゃべりまくり。
            よくまあしゃべる、フランス男たちよ。

            海にぷっかりぷっかり浮かびながら、
            ワイン片手に魚釣りをしていると、時間の感覚がなくなっていくよう。
            波の不規則なリズムのせいなのか、
            海上でゆらりゆらりとゆらめく光のせいなのか、
            陸時間とは完全に隔離された、独特の時間が流れている。
            それはそれは、
            心までゆったりとしてくる、大らかな海時間でした。


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            この日の収穫は、サバ計26尾。
            たぶん20尾は私が釣ったに違いない、おほほ。
            (↑これをビギナーズラックと言う)。
            大漁の時は、釣り糸を下げては釣れる、下げては釣れるのさらに大騒ぎらしい。
            そういえば、夏前にクリスチャンからお裾分けでサバをもらった時は、
            110尾も釣れたと言っていたっけ。

            獲れた魚は尾を切って陸揚げしなくてはいけないとのこと。
            勝手に販売されては困るからとのことだけれど、
            110尾もサバが釣れた時には、売りたくなるのも分かるというもの。
            といっても、規則通りに尾を切ることをしないのが、
            このフランス人たち。
            獲れたサバは等分し、2家族で仲良く分配しました。
            
            その日の晩は、クリスチャン一家がうちに来て、
            みんなで一緒にサバを堪能することに。
            外に置かれた電気グリルで、
            サバを焼いてくれるのはFanFanの役目。

            夏前にもらったモノよりもひと回りもふた回りも大きく、
            ほんのり脂がのったサバは、まさに秋の味覚。
            自分で釣った魚をその日のうちに焼いて食べる。
            これほど旨い秋のサバは、他にはないでしょうね。     

                               

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by yokosakamaki | 2011-11-19 23:44 | 秋のこと

魚介を買いに港へ

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            田舎で暮らす醍醐味といえば、
            自然がいっぱい!ということもあるけれど、
            なんといっても新鮮な食材を、
            簡単に安く手に入れることができるということでしょう。

            もちろん今や便利な世の中なわけで、
            都会暮らしでも新鮮な食材を簡単に手に入れることはできます。
            でも安いかといえば、なかなかそうはいかない。

            私が以前住んでいたヴェルサイユは、
            新鮮な魚介で好評な市場があったのだけれど、
            長年住んでいて利用したのは数えられるほど。

            キログラムいくらで書かれた値札に、
            適当に切り身を切ってもらうと、
            請求されて心臓がきゅっと縮み上がる思いをしたものです。

            たとえそれが新鮮であったとしても、
            魚ごときにこの値段?という罪悪感を感じては、
            おいしさだって半減。
            
            つくづく思うのだけれど、フランスって(特にパリ)、
            食材の値段にかなり開きがある気がする。
            ある程度お金を出さないと、
            新鮮でおいしいものは手に入らない。
            野菜も肉も値段の差は、まさに味の差。これって格差社会だよね。
            特に魚介は、肉ほど日常的に食べないお国柄だから、
            なんといっても高い!
            私はすっかり肉食人種と化していました。

            と、そこでやって来た海辺のノルマンディー。
            こうなったら、いままでの魚介欠乏を一気に補うしかないでしょう!


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            「魚介を買いに行くぞ!」と、港に向かうと思ったら、
            最初に連れて来られたのは、なんと個人宅。
            自らが獲ってきた魚介を、
            漁師さんが自分の家で売ってくれるというわけです。

            海岸から200~300mくらい?入った住宅街にあり、
            家の駐車スペースには、ごくフツーに漁船が停まっていて、
            思わずにんまり。
            まるで車に乗って出かけてくるわ、と言う感じで、
            船に乗って魚介でも捕ってくるわ、
            というノリがすばらしいではないですか!
            
            家の半地下部分の、本来ならばガレージとでもなるスペースに、
            生簀があり、中ではカニやエビ、オマールたちがうごめいている。
            ここの漁師さんは魚介専門で、
            毎朝海に出て捕って来たものを売ってくれるのだそう。
            したがってその新鮮さは見てのごとく。
            カニは食われてたまるか、と私たちを睨みつけるぐらい威勢がいいし、
            エビはまさにピチピチと跳ね上がっている。

            このライブ感!
            これこそがおいしさを増大させるのになくてはならないものでしょう!

            
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            次に訪れたのは、私もすでに何度か来ている港の魚市場。
            スタンドは4つくらいしかない、小さな市場だけれど、
            ここも漁師家族で経営。
            男衆が獲って来た魚介を、女衆が市場で売ると言う按配。
            スタンドの後ろには漁船が見え、
            船着き場にはおこぼれを待つカモメが群がり、
            ライブ感もひとしお!

            ただ、近海で獲れる魚介に限られてしまうため、
            時期により、魚のレパートリーが乏しいことがあるのが残念。
            でもこの時期はヒメジ、カレイ、タラ、イカなどなど、品数も豊富に。
           
            基本的に新鮮なものばかりだけれど、
            中には怪しいものもある、とFanFanは、
            自分の目で見て、自分で選んで指差したものしか買わない。
            これは、フランスの市場で大切なこと。
            
            そして「捨てる魚があったら猫にあげたいんだけど」と、
            市場のお兄ちゃんに交渉までしてしまう、うちのフランス人。
            すると、袋いっぱいの廃棄魚までお土産にくれる気前よさ!

            とりあえず言ってみた者勝ち、
            なのもフランスなわけですよ。


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            さて、今回買ってきたものといえば、
            魚介専門の漁師さんの家で、イチョウガニ(Tourteau・上の写真)と、
            日本ではスジエビと呼ばれているらしいブーケ(Bouquet)のエビ。
            ブーケはパリの市場でも生きて売られているのを見たことがあるけれど、
            なかなかの高級品。

            惚れ惚れするほど透き通った姿ながら、活きがよすぎて、
            写真を撮っている間にも何度も皿から外に飛び出すほど。
            3分ほどさっとゆでれば、ご覧の通り美しいピンク色に変身。
            殻を剥きながら食べるのがなかなか大変な割には、
            出てくる身は悲しいほど小さい。
            でも、ほんのりと甘みがある繊細なお味。


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            市場ではイカ(encornet)の他に巻貝のバイ貝(Boulot)。
            これは私の大のお気に入り。
            うちではチーズフォンデュなどで使う柄の長い串を使って、
            ぷるんと取り出し食べる。
            ねっちりと歯ごたえのあるやわらかい身に、
            ワタの苦味が口に広がったところで、
            私は日本酒の誘惑に喉をギュッと掴まれるのだけれど、
            白ワインでももちろんイケます。

            たいていこれらの魚介は、
            粗塩、粒こしょう、ブーケガルニを加えてゆでるだけで、
            素敵なアペリティフのお供に。

            FanFanが「今まで冷たくしたものしか食べたことがなかった」と言うくらい、
            フランスでは通常、冷たくして出すのがお決まり。

            私はいつでどこだったか覚えていないくらい大昔に、
            たぶん海辺に来たんだから魚介をたんまり食べよう!ってなもんで、
            1度だけ魚介の盛り合わせ(Plateau de fruits de mer)なるものを、
            レストランで頼んだことがある。

            山盛りに出てきた魚介の数々に最初は歓声を上げたけれど、
            皿を半分も食べないうちに減らない貝類にうんざり。
            野菜もついていなければ、
            延々に冷たい貝だけを食べ続けなくてはいけない状況って、
            正直、胃の中まで冷え冷えとしてしまう悲しさなのです。

            それ以来、魚介の盛り合わせなるものは、
            今後一生、レストランでは食べまいと思っている私。
            せっかく家で食べるんだから、温かいままで食べるのがオススメ。
            というか、温かい方が断然おいしいと思うんだけど、どうなんでしょ?

            とにもかくにも、この日は人間も犬も猫も
            (注;うちのアカントは猫と同じものを食べる)、
            みんなで魚介を堪能したことは言うまでもなく。

            新鮮な食材をシンプルに食べられる。
            これってとっても贅沢なことだと、つくづく思うのです。
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by yokosakamaki | 2011-10-22 03:09 | 秋のこと