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ノルマンディーの風

アカントが行方不明!

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            夏の私たちは1日24時間どころか、
            1ヵ月31日あっても足りないくらい、てんてこ舞い。
            (というわけで写真は春のものでスミマセン)

            今年は6月まるまるいっぱいまで、非常に寒く、
            うちの果樹園のフルーツたちは実を膨らませながらも、
            なかなか熟す様子を見せず。
            7月に入った途端、なんとかお天道様も機嫌を直した様子で、
            一気に夏日になり、びっくりするほど快晴続きに。
            2週間ほどの地方取材から帰ってくると、
            ようやくカシスが収穫の時を迎えてくれていた。

            本来ならば、7月頭に行うカシスの収穫が、
            7月中旬になってしまったのだから、
            今年の季節は半月ほど遅れているよう。

            したがって旅から帰ってくるなり、
            翌日からカシス収穫と相成ったわけだけれど、
            自分の地方取材につき合わせてしまったFanFanを、
            私も手伝わないわけにはいかない。

            夏休みのアルバイトでやってきた子供たちと一緒に、
            今年は手伝いましたとも!カシスの収穫!!


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            いつもならば、動物の方が多いうちの人口。
            収穫に来る子供たち以外にも、
            この時期はうちに夕食を食べに来る大人たちも多く、
            人間の数が3倍にも、4倍にも増えるのだから、
            賑やかなことこの上ない。
            、
            さらに朝から晩まで果樹園にいるし、
            昼ごはんも、夕ごはんも外のテラスで食べるため、
            1日のほとんどを外で過ごしているようなもの。

            そんな大賑わいの状況を一番喜んでいるのは、
            うちのドイツシェパードのアカントさん。

            なんといっても、いつもならば、
            住人の1人目は家の中で猫と一緒に閉じこもって仕事をしているし、
            住人の2人目は右へ左へと大忙しで走り回っているしで、
            誰にも相手にされないアカントさん。

            でもこの時期は、お客さんたちは大抵最初は構ってくれるし、
            子供たちなら飽きもせず遊んでくれるしで、
            有頂天のアカントさん。

            人々の間を飛び回り、その巨体で思う存分体当たりした上、
            撫でてもらってはべろんべろんと舐め回す。
            その狂喜乱舞する姿といったら、
            突如スポットライトに照らされて調子に乗る、売れない芸人みたい。

            いやはやまったく、あんたがスターよ!


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            そんなカシスの収穫も一段落し、
            次に収穫するさくらんぼが熟れるのを待って、しばしの休息の日。
            その日はFanFanたちは午後から馬乗りに出かけてしまい、
            私は1人残って家の中で自分の仕事をしていた。

            夕方、馬乗り組が帰ってきてしばらくすると、
            門のチャイムが鳴った。
            インターホンのカメラで覗いてみると、
            見知らぬ男の子たちの後ろにいるのは、
            なんとうちのアカントさん!


            古い農家を改築したうちの家は、
            昔は同じ敷地にあったもう1軒の家が隣接している。
            したがってFanFanの書斎やトイレ、物置などの裏側にある窓を開けると、
            そこはお隣さんの庭という不思議な造り。
            窓から家屋が見えるわけではないし、
            生け垣でうまい具合に目隠しされているから、特に困ることもなく。
            
            逆に樹木が立ち並ぶ間を小路が曲がりくねって続く様子は、
            うちの窓から覗く秘密の小庭といった感じ。

            そんな隠れ家的庭をうちの猫たちが放っておくわけがなく、
            裏側にある窓を通っても通らなくても、
            隣の敷地に堂々と不法侵入しているのは当たり前のこと。

            隣の家が別荘として使われていることもあって、
            所有者たちは時々しかやって来ないし、
            猫たちは自分たち専用の庭のように自由に出入りしている状態なのだ。

            以前、アカントを探していた時、
            私の呼ぶ声に反応してガサガサと音が聞こえてくるのに、
            どうしてか姿を現さないことがあった。

            どうも裏から音が聞こえてくるためお隣を覗くと、
            どこからか隣の庭に入り込んだのはいいけれど、
            出るに出られないアカントが塀の向こうにいて、
            その巨体を必死の思いで引っ張り上げたことがある。

            FanFanがトイレに入っていて、
            窓の向こうにアカント発見!
            と、大急ぎで救出しに行ったこともある。
            アカントにしてみれば、隣に侵入したはいいけれど、
            出られなくなることもあったため、
            この頃は無茶な侵入をあきらめていたよう。
            
            その隣の家が売りに出されていて、
            つい最近、所有者が変わったばかりだったのだ。
            とはいえ、すでに数ヶ月は経つというのに、
            「隣接した隣なのに何のあいさつもない」
            と、FanFanは嫌な顔をしていたのだった。


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            その新しいお隣さんが、
            アカントを連れてやって来たというわけ。

            子供たちの後ろには彼らの祖母だという年配のマダムもいて、
            初対面のあいさつをし合う。

            人懐っこそうな、おしゃべりなマダムで、
            アカントが勝手に入り込んだのを侘び、
            「うちには猫が4匹もいて、これからもお邪魔するかもしれません」
            と話すと、
            「うちにも犬がいるし、みんな動物は大好きだから大丈夫よ!」
            と言ってくれ、ほっとひと安心。

            家はやはり別荘に使うとのことで、FanFanも私もさらに大満足。
            「近いうちにアペロでもご一緒しつつ、ゆっくり話しましょう」と言って、
            お隣さん一行は帰って行った。

            しかし、アカントにしても、
            隣の家に人がいる時に入り込むとは、初めてのこと。

            私が思うに、最近、スター気取りだったアカントさん。
            うちにもお昼までいろんな人がいたのに、
            急に誰もいなくなり(私は家の中にいましたけど)、
            静かになった我が家で聞こえてくるのはお隣さんの声。
            その賑やかさに引かれて、
            ここは一丁、隣でもスポットライトを浴びてやろうじゃないか、
            と調子に乗ったに違いない。

            そういえば、去年の夏休みのアルバイトに、
            同じ村に住む女の子がいたのだけれど、
            ある日、お昼休みで自宅に帰る時にアカントがついて来てしまい、
            仕方がないので午後に一緒に連れて帰ってきてくれたことがあったっけ。

            何が忠犬アカントだ!
            やさしくしてくれる人なら誰でもいいっていうわけ?


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            その翌日は、収穫もないため家には誰も来ず、
            ホント久しぶりに通常の生活に戻った1日。
            私は朝から家の中で仕事をし、
            FanFanは相変わらず右へ左へと外を走り回っている様子。

            例年のごとく、夏は家の中になかなか入ってこない猫たちだけれど、
            特に知らない人々がいると、
            アカントのようにスポットライトを浴びる気はさらさらなく、
            ご飯を食べてはさっさと姿を消してしまう。
            今日は他人は誰もいないし、なんと言っても私が家の中にいるし、
            久しぶりにパシャが自分の陣地でひっくり返って寝ているのが見える。

            外はきらめくばかりの夏の真っ盛り。
            まるで春に十分に働かなかったことを後悔しているとでもいうように、
            太陽がせっせ、せっせと光と熱を降り注いでくれている。

            お隣さんも朝早くにいなくなったようで、
            午前中は業者が隣の外壁を工事する音が聞こえていたけれど、
            午後になるとすっかりいつもの静けさを取り戻していた。

            と、そんな静かな日常が戻ったのもつかの間、
            この後にさらなる事件が待ち構えていたのです。




           
           

                   
by yokosakamaki | 2013-09-16 01:42 | うちの犬物語