魚を釣りに海へ
今年は本当に珍しく、
天気がよく、温暖な秋の日々が楽しめるフランス。
まあ、夏がなかったわけだから、
このぐらいはお天道さんにもがんばってもらわないと!
そんな柔らかな光が降り注ぎ、景色がキラキラと輝く秋のある日、
友達のクリスチャンから突如、お誘いが。
「今から船を出すから、魚釣りに行かない?」
前にもクリスチャンのモーターボートに乗ったことはあるのだけれど、
「今度は魚釣りもしてみたい!」というお願いを、
ちゃんと覚えていてくれたのだ。
私は朝から精を出していた、バスルームの掃除を文字通り放り出し、
FanFanと一緒に近所の港に駆けつけたのです。
ここは、私たちが魚介を買いに来る港ではないのだけれど、
魚の市場も開かれている漁港。
クリスチャンの息子、ジュリアンを待っている間にも、
海から戻ってくる漁船の姿がチラホラ。
ちなみにこの小さな漁港の、
モーターボートのパーキング代は年間250ユーロだとか。
「そんなに高くないじゃん!」と反応する私たちに、
「問題はスペースが限られていること。
何年も場所が空くのを待っている人もいるんだから」
と言う、クリスチャンの奥さんでオランダ人のミク。
なにはともあれ、こんなご近所で船に乗せてもらえるなんて、
ありがたや、ありがたや。
ましてや、魚釣りもできるなんて、
これぞ、田舎の素敵な遊び方!
ようやくジュリアンも到着し、いざ、海へ!
小さなモーターボートは風を切り、
とびうおのように跳ねながら海上を進む。
豪快に水しぶきが上がり、
時折、体がふわりと浮かぶ浮遊感に、
ひしっとFanFanにしがみついてしまう。
そんな状況を物ともせず、
私たちの足元で船にへばりついているのは、
クリスチャンの犬、デュヌ。
さすがに海に慣れた船乗り犬、よ!女前だね。
目的地に着いてエンジンを切ったら、
おもむろにワインの栓を抜くのはジュリアンの役目。
まずは景気づけに、「かんぱ~い!」というわけ。
そして早速、海釣りのやり方を伝授してもらう。
4つのルアーがついた釣り糸を海底まで落とし、
時々動かしながら、リールで糸を巻き上げていく。
その繰り返しだとか。
これがまた、かなり面白い!
だって面白いほど、サバ(maquereau)が釣れるんですもの!
多い時なんて、
4つの釣り針に5尾のサバが食らいついていることも。
でもそうなると、重すぎて持ち上がらない、持ち上がらない。
「キタキター!」とうれしさのあまりニヤケながら、
ひぃひぃ言ってリールを巻いている、
なんだか大変な状態。
海面までやっとこ連れて来たサバたちを、
船まで引き上げてくれるのはクリスチャンの役目。
釣り針からサバたちを外してくれるのは、ミクの役目。
私は釣り糸を下げたり、上げたりしているだけなわけだから、
そりゃあ、面白いに違いない。
仕舞いには、
「サバ以外の魚が釣りた~い!」と叫びだすほど。
えぇ、他の魚を釣るのはもっと難しいらしいです。
ようやく最初の魚釣りの興奮が収まってきた私は、
ミクと一緒に時々サバを釣り上げながら、
時々おしゃべりをし、のんびりムードに。
残りの男3人は釣りもせず、
ワインを飲みながら、ず~っとしゃべりまくり。
よくまあしゃべる、フランス男たちよ。
海にぷっかりぷっかり浮かびながら、
ワイン片手に魚釣りをしていると、時間の感覚がなくなっていくよう。
波の不規則なリズムのせいなのか、
海上でゆらりゆらりとゆらめく光のせいなのか、
陸時間とは完全に隔離された、独特の時間が流れている。
それはそれは、
心までゆったりとしてくる、大らかな海時間でした。
この日の収穫は、サバ計26尾。
たぶん20尾は私が釣ったに違いない、おほほ。
(↑これをビギナーズラックと言う)。
大漁の時は、釣り糸を下げては釣れる、下げては釣れるのさらに大騒ぎらしい。
そういえば、夏前にクリスチャンからお裾分けでサバをもらった時は、
110尾も釣れたと言っていたっけ。
獲れた魚は尾を切って陸揚げしなくてはいけないとのこと。
勝手に販売されては困るからとのことだけれど、
110尾もサバが釣れた時には、売りたくなるのも分かるというもの。
といっても、規則通りに尾を切ることをしないのが、
このフランス人たち。
獲れたサバは等分し、2家族で仲良く分配しました。
その日の晩は、クリスチャン一家がうちに来て、
みんなで一緒にサバを堪能することに。
外に置かれた電気グリルで、
サバを焼いてくれるのはFanFanの役目。
夏前にもらったモノよりもひと回りもふた回りも大きく、
ほんのり脂がのったサバは、まさに秋の味覚。
自分で釣った魚をその日のうちに焼いて食べる。
これほど旨い秋のサバは、他にはないでしょうね。
by yokosakamaki
| 2011-11-19 23:44
| 秋のこと