ノルマンディーの風

りんごの収穫

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                   よくよく考えてみたら、
                   夏の間にノルマンディーで家の外に出たと言えば、
                   友達や親戚の家に夕飯をご馳走になりに行くか、
                   ちょいと買い物に出たぐらい。
                   近所にある海は、見事に一度も見ずに終わった。

                   こんなの田舎暮らしじゃな~い!!

                   というわけで、ようやく自由の身になったところで、
                   田舎暮らしっぽいこと、してみました。

                   “りんごの収穫”。

                   りんごの産地、ノルマンディーの田舎暮らしでは、
                   これは避けては通れないことでしょう。

                   と言っても、私が家の中に缶詰状態だった間も、
                   他の果物だって着々と収穫されていましたけれどね。


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                   たとえば、プルーンだとか、洋ナシだとか。

                   8月は雨が多かったノルマンディー(パリも)。
                   「今年の夏はなかった」というのはここ数年、
                   フランス北部で毎年繰り返されている話。
                   私はヴァカンスを除き、ほとんど外に出なかったため、
                   正直、どーでもいい話でしたけど。

                   そんな夏がないと言われる季節の中でも、
                   実をつけ、実を膨らませ、
                   収穫されていく果物たち。
                   私が家の中でウンウン唸っている間にも、
                   人々が天気にブツブツ文句を言っている間にも、
                   ちゃーんと自然は着実に前進しているわけです。

                   そうして迎えたりんごの収穫。
                   私は赤い長靴を履いて、
                   久しぶりに足を踏み入れた果樹園の色の変化にびっくり。
                   そこはすっかり秋の景色に変わっていました。

                   
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                   つい1ヶ月前までは、
                   まだ緑色だった果樹の葉っぱは黄色に変色、
                   それとは逆に、枝を垂らさんばかりに、
                   丸々と大きくなった実。
                   まるで果実が少しずつ、少しずつ、
                   生気を吸い上げて膨らんで行くにつれ、
                   少しずつ、少しずつ生気を吸い取られた葉が、
                   色あせて萎んでしまったよう。

                   私はりんごの木に登り、
                   周りを囲む一面の秋景色をぐるりと眺め、
                   秋の澄んだ空気を思いっきり深呼吸。
                   そしてふっくら膨らんだ果実を
                   ひとつひとつ、収穫し始めた。 

                   その、丸いりんごを手でつかみ、
                   くるっとひねって“もぐ”という行為は、
                   自分自身がまるで、サルになった気分。
                   はしごを使ってとはいえ、木に登り、
                   手をぐ~んと伸ばして果実をつかむ様子は、
                   手長ザルそのもの。ウッキー!

                   それとも原始時代の髣髴かもしれない。
                   太古からず~っと人間が行ってきた果実の収穫。
                   この基本動作は、人間が手で果物を採り続ける限り、
                   いつまでも変わらないものだろう。

                   せっせと収穫するりんごの中で、
                   うちで一番多い種類が、ボスコープ種(Boscoop)。
                   黄色っぽい表皮に、ほどよく酸味がある締まった果肉で、
                   生食も加熱調理にも向くスグレモノ。
                   FanFanの一押しのりんごなのです。

                   それにしても今年はノルマンディーでは大豊作だそうで、
                   片っ端からりんごをもいでも、もいでも、終わらない!

                                     
                                     
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                   そんなりんご収穫機と化した原始人を、
                   すぐ側で眺めているのは、うちの犬、アカントと、
                   ようやく1歳を超えた馬のアパッシュにポニーのルキー。
                   
                   アカントが側にいるのは分かるけれど、
                   馬たちも人間の側から離れないなんて、
                   なんて情深い馬たちかしら!とちょっと感動。

                   「この2頭、忠犬アカントみたい!」と言うと、
                   「りんごがもらえるから側にいるだけだよ」とFanFan。
                   そういえば、さっきから一部分だけ腐ったりんごを見つけては、
                   ポ~ンと柵で囲まれた馬の牧草地に投げ入れるFanFan。
                   やっぱり馬は犬ほど忠実ではないのね。

                   猫のミヌーもさっきまでトラクターの上を徘徊していたし、
                   昼寝から目覚めた子猫、プリュムとクロクロまでやって来て、
                   私たちがりんごの収穫をしている周りで、ぴょんぴょこ遊んでいる。

                   家族みんなが果樹園に集合した様子は、
                   りんごの木の周りをぐるりと囲み、
                   果実の収穫をみんなで踊って祝う、
                   まさに収穫祭さながら。

                   天の高い真っ青な秋の空の下、
                   徐々に傾く西日のやわらかい光が果樹園に充満している。
                   日に温められたりんごをもいでは、手に残るやさしい感触。
                   それは、これ以上ないほど完璧な、
                   穏やかで秋らしい田舎の1日でした。

                   ひとつ欲を言わせてもらえば、
                   動物たちもちょっとは収穫を手伝ってくれ!ということ。
                   それはまぁ、欲張りというものでしょうけれど。

                   “私は”収穫を手伝ったんだしさ、
                   ブログに載せるから、りんごのデザートをお願いしますよ、と頼むと、
                   「まかせとけ」とはりきるFanFan。

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                   そして、作ってくれたのが、
                   “りんごと洋ナシのクラフティ(clafoutis aux pommes et poires)”。

                   まったく、相変わらずです。
 
                   
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by yokosakamaki | 2011-10-16 03:05 | うちの果樹園