ノルマンディーの風

散歩道

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               何事も足で歩いて把握することをモットーとしている私ながら、
               さすがに車社会の田舎ではなかなかそうもいかない。
               そもそも週の半分はパリにいるし、
               住み始めの1ヶ月ほどは家に篭って仕事をしていたから、
               家の裏の小川さえもあることを知ったのは、
               1ヶ月半後のこと。

               うちの中でさえもそんな感じだから、
               うちの外はまだまだ未開の地。
               実は村にあるパン屋さんさえ、
               たぶん徒歩8~10分ほどの距離だと思うのだけれど、
               いまだに歩いて行ったことがない。

               なんといっても田舎は規模がデカすぎるのだ!

               さすがにこのままではいかん、と、
               お天気もよくなってきたし、探検に繰り出すことに。
               さらに今日はちょっと目的もあるのです。
               
               FanFanに散歩に出かけることを伝えると、
               「田舎は人さらいが多いから、
               護衛犬としてアカントを連れて行きなさい!」
               との仰せ。

               護衛となるかはかなり疑問だけれど、
               まあ、見た目は大きな犬だから魔よけにはなるのかも。
               それよりも問題は、
               奴が私にちゃんとついて来るのか、
               そもそも私の言うことをちゃんと聞くのか、だ。

               誰にでも愛想のいいアカントのこと、
               どこまで私のことを身内として見ているのかがよく分からない。
               この初のツーショットで、
               奴の本性が暴露されるのかも!!!

               と、ドキドキしながらアカントを散歩に誘うと、
               素直にひょこひょこついて来る。
               ちょっと緊張しますが、
               それでは仲良く散歩に出かけましょうか?

               この日は快晴ながら、まだ冷たい風が吹き、
               ちょっと肌寒いほどの陽気。
               でもその分、空気は澄んでいるようで、
               思いっきり深呼吸したくなる散歩日和。

               当のアカントといえば、
               道を右へ左へと忙しく歩きながら、
               私をリードしている。
               ま、私よりも彼女の方が詳しい家の近所。
               さあさ、どんどん、どんどん、歩いてください。

               うちの周りは高い山はないけれど、
               穏やかな丘陵地帯が続き、
               歩くとなかなかのアップダウン。
               ヨイショと登った丘の上からは、
               この時期ならではの風景が一望だ。

               牧草地の緑色に菜の花畑の黄色がモザイクをなし、
               鮮やかなことこの上ない。
               そこに果樹や名も知らない樹木も花を咲かせ、
               やさしい色合いを加えている。
               
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               さらにアカントに連れられて先に進むと、
               そこに現れたるは牛の一群。
               私たちが近づいていくと、
               野原に寝そべっていた牛たちが次から次へと集まって来る。

               その数の多さにビビッてウロチョロするアカントが、
               特に興味をそそるらしく、
               彼女の動きに合わせて牛たちの頭も行ったり来たり。
               仕舞いには私たちが歩く方向に、
               牧草地の端までついて来てくれて、
               みんなでお見送りしてくれるほど。

               いやぁ、ありがとう、ありがとう。

               と、手を振って、
               振り返ったそこに現れたのは、
               この日の目的である、

               菜の花畑、


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               の向こうに見える、


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                海!

                実は私たち、海から3kmほどのところに住んでいるのですが、
                これまた諸々の事情により、海を見るのも毎日とはいかず。
                2週間以上、見ないのも普通なんです。

                そんなもんですな、
                海の近くに住むと言っても(トホホ)。

                久しぶりに見た海は、
                色を春仕様に濃くした様子。
                菜の花の甘酸っぱい香りを海風が吹き飛ばし、
                そこら中に春香を撒き散らしている。

                そうか、ここは牧草地の緑色に、菜の花畑の黄色、
                さらに海のブルーがモザイクをなす場所なんだ!
                まさに野にも山にも海にも!春が来た、
                ってヤツですよ。

                と、ルンルンして写真を撮っている私の傍らで、
                お行儀よく待ちながら海を眺めるアカント。
                やっぱりアンタは賢いジャーマンシェパードなのね。

                その後、私たちは来た道を辿って、
                無事に仲良く家に帰ったことは言うまでもなく。
                この日、私はとっても、
                彼女のことが好きになったのでした。

                
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                また一緒にお散歩しようね。
                海を見に、この道を通って。



                                
                
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by yokosakamaki | 2011-04-23 02:35 | 春のこと