ノルマンディーの風

馬のネイルサロン

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           暖かい(暑いくらい)日が増え、
           どこもかしこも生き生きとした緑や花で彩られ、
           馬と一緒にお出かけしたい季節になりました。
           でもせっかく出かけるならばその前に、
           ちょいとおめかしをしようではありませんか。

           今回、かり出された馬は、
           イスパノおじいちゃんとヴィオレットおばあちゃん。
           20歳以上にもなる、FanFanの馬の中でも最高齢の2頭。

           私みたいな馬乗り初心者は、
           元気いっぱいの若い馬を乗りこなせないため、
           動きものんびりとした老馬があてがわれるのです。

           この2頭をお出かけ用にきれいにしてくれるのが、
           馬に蹄鉄を打ちつける装蹄屋さん。
           職業のイメージから、その道ウン十年という、
           ベテランのおじいさんがやってくると思いきや、
           予想よりも若手だったのでびっくり。

           「この仕事は腰を痛めるからね、年寄りには厳しいんだよ。
           という僕もそろそろツライ歳なんだけどね」と話すのは、
           装蹄師のエルヴェ。
           作業を見ていると、始終中腰姿で行うため、
           見ているだけでもこれは大変そう。

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           まずは古い蹄鉄を取り除き、蹄をきれいにすることから始める。
           両足で挟むか、膝の上で馬の足を固定し、
           蹄の先端を3~4cmほど切る。
           裏の汚れた部分を削り、平らになるようにやすりをかけ、
           蹄の大きさを見ながら、蹄鉄の形を金槌で整える。
           蹄鉄を蹄に合わせてみて、
           さらに蹄を削り、蹄鉄を変形させ、
           2つがぴったりと合うまでこれを何度となく繰り返す。

           少し前までは蹄鉄も馬の蹄の形に合わせて、
           その場で作っていたとか。
           蹄鉄がまだ熱いうちに蹄につけるため、
           その度に煙が出て見ものだったらしい。

           今では蹄鉄から作る人は稀で、
           約12サイズほどに揃った既成品を使うのが一般的。
           それでも馬によって異なる蹄の大きさに合わせて、
           蹄鉄の大きさを微調整していくのは大変な作業だ。

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           その間、2頭の老馬はまったく動かず。
           泥で固まったたてがみをFanFanにパッツリ切られて、
           おかっぱ頭になったヴィオレットおばあちゃんなんて、
           居眠りしている様子。
           美容院でパーマをかけられながら、
           こっくりこっくり居眠りするご婦人といったところか。

           そんな2頭の足元でせっせと働くエルヴェ。
           最初は真っ黒だった蹄は今や白く輝き、
           新しい蹄鉄もピカピカに光っている。
           まさに爪のお手入れを入念にされ、
           オーダーメイドの靴を新調したような、
           至れりつくせりの扱い。

           こうした一連の微妙な作業は、
           もちろん機械ではできず、
           人間がやるからこそできるというもの。
           でも、こんな大変な作業をやる人は、
           今では少なくなっているのではないかしら?

           「ノルマンディーは馬が多いからやる人も多いし、
           仕事も多いんだよ」
           エルヴェ自身、馬の飼育をしながら、
           装蹄屋さんも受け持っており、とても忙しそう。
           人間の爪同様、馬の蹄も伸びるものなので、
           蹄鉄を替えるのも約3ヶ月ごとに行うものだとか。
           さらに周りを見回しても、馬だらけなノルマンディーで、
           装蹄屋さんが大忙しなのも納得。

           自然があって、馬がいて、馬に乗る人がいて、装蹄屋さんがいる。
           無理なく、ごくシンプルな流れの中で、
           昔ながらの職業が自然と残っていることが、
           なんだかとってもうれしい!

           さて、老馬2頭の足元も美しく変身したことだし、
           春の陽気の中、お散歩に出かけましょうか?


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           と、さっきから私たちの足元を、
           ウロウロしているのはうちの犬、アカント。
           今日の彼女はサロンの掃除婦を買って出ているようです。
           なぜならば、切り取った蹄のおこぼれに預かるのが狙いだそう。
           お味としたら軟骨みたいなモン?旨いんすか、それ?

           何はともあれ、無駄なくすべて召し上がれ。
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by yokosakamaki | 2011-04-09 23:04 | うちの馬物語